2016/12/18

対話篇~生き写し~




「師走に入ると独特な空気になるな。
いくつになっても変わらないものだ」




「・・・・・・・・・・・」




「・・・・おい、聞いてるのか」





「・・・・・・もしかして、僕を呼んだの?」




「当たり前だろ。出番だぞ」




「すごい久しぶりのような・・・・」





「年末だから出してやるってさ」





「いつの間にか年いちになったね」





「多分、飽きたんだろう





「えっ?何、聞こえない」




「だから、飽きられたって!




「・・・・・文字の色、薄くされてるよw」



「チッ、作者だからといって好き勝手に」















「そういや、君の言ってた嫌な予感が
当たりそうだね」





「さて、どうだか」




「ドル円も118円、すごい下落スピードだね。
世界中の中央銀行は金利を制御できなくなってるんでしょ」




「無理をしてれば必ずしわ寄せがくる」




「世界中の不動産バブルも弾けそう。
どこがトリガーになるんだろ」




「まあ、未来は誰も分からんがね」




「そうだね!来年はすごい経済成長して
国内外の問題が全部片付くかもしれないもんね!」




「そりゃ神風を祈る楽観主義者のセリフだろ」




「・・・・・・・(どっちだよ)」




☞☞




「なぜローマは滅びたか知ってるか」




「まあ、色々あったんじゃないの。
東西に分かれてから早かったみたいだけど」




「それはあくまでも結果にすぎないだろうな。
理由や背景は複合的だが、前提はひとつ。
根幹である人間の腐敗だ」




「最後は国内の争奪戦ばっかりだったもんね」




「頂点である歴代皇帝を始め、国家の役人達は
自分が生き残ることだけが最優先順位だった。
責任や義務なんてないない。自民と民主よろしく
ずー・・・・っと内部紛争やってたわけだ」




「似てるね」



「官僚はどんどん増え中央集権化の
コストは膨れ上がり、春の羊にとまっている
ハエよりも多くなったと揶揄されるようになった」






「・・・・・似すぎてるね」





「つまり根の部分が致命的に腐敗したんだ。
そんな状態で外からの圧力があったら
持ちこたえることなんてできやしない」




「国家が個人的、利己的な欲望を共通の
志向性にして目的を忘れれば、どこだってそうなるね」




「大小差はあれ、一緒かもな」




「ローマの他にもあるの?」



「同時代ならカルタゴがそうだ。日本と同様、
商売は上手だったが文化を蔑ろにした結果、滅んでる」



「ハンニバルさんみたいな人もいたんだけどね」



「いくら正しくても不安を煽るようなことを
言うと批判されるのは世の常だ。
我々は安全です!未来は明るい! と
アナウンスした方が支持される」



「そして真実が靴を履いている間に
嘘は世界を半周するか・・」



マーク・トウェインか。
温暖化もそうだったようだしな」



「・・・長くて後15年、早ければ5年から
10年で小氷河期がやってくるんでしょ」



「英国の研究チームを始め、多国籍企業から
研究費をもらってない科学者が出した共通の見解みたいだな」



「つまり予言じゃなくて実証ってことだね。
経済はいいけど日常が氷河期ってやだなー」



「冬に夏になれと叫んでも無理だな。
我々にできるのは防寒着を用意することだけだ」



「世界企業ばバカ賢い゙から
赤道周辺のアジアに拠点を移しそうだね」



「そうなってきたら合図だと思っていいよ」



☞☞



「でもさー、やっぱりこういう話って
辛気くさいっていうか、元気でないよ。
年末なんだから、もっと明るい話題がいい」



「僕はいたって元気だ」




「なんでよ」



「ものごとは表裏一体、ハイデガーの
ツハンデネスよろしく冬の雪の下には
春を待つタネがある」



「なるほど、だからまず冬を越せ。。。ってことだ」




「仮に社会の構造が根底から
変わったとしても、国家が滅びたとしても、
人が生きてりゃ問題ないんだよ」



「体が資本だね。
みなさんも無理せずご自愛くださいね~」



「風呂入れよ、歯磨けよ、風邪ひくなよ、宿題やれよ」




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